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最終更新日 2023年02月10日



北海道・遺伝子組換え問題の攻防
 
(いま遺伝子組換え問題に思う)

ネットワーク農縁  阿部文子

 いま 遺伝子組換え問題では北海道でのせめぎあいが、愁眉の問題となっています。北海道では、昨年、遺伝子組換えイネの試験栽培への反対運動が、全国から集まった40万余の署名によって大きな威力を発揮し、遺伝子組換え作物規制への動きをもたらしました。

 ご存知のように、2002年に北見市でバイオ作物懇話会が、1ヘクタールの畑に遺伝子組換えの大豆栽培したのをきっかけに、栽培規制を求める声があがったのでした。翌2003年、北海道農業研究センターの試験ほじょうで、農業生産資源研究所が開発したトウモロコシの遺伝子を導入した遺伝子組換えイネの試験が行われ、その声はさらに強まりました。

 この時「北海道遺伝子組換えイネいらないネット」が結成され、2003年7月に行われたカナダの農民シュマイザーさんによる北見市、札幌市での講演が大きな力となって、遺伝子組換え作物栽培規制を求める声が決定的となりました。この規制の動きにはずみをつけたのが、全国から寄せられた40余万の署名だったのです。

 一方、規制強化の動きに対する反発もつよまっています。産業界と研究者などの遺伝子組換え作物開発推進派です。
 「遺伝子組換えなどバイオテクノロジーの研究開発は、将来的な本道の産業振興に有用であり、積極的な取り組みを進めることが必要とかんがえている」そして「遺伝子組換え作物の栽培試験にかかわる実施条件検討会」に2人の強硬な推進派の人材を送り込み、慎重派と推進派のバランスをくずす戦法に出てきました。

 そして規制は大幅に後退をよぎなくされています。

  1. 知事の許可制から届け出制へ
  2. 原則禁止から原則許可へ
  3. 試験実施のできる遺伝子組換え作物は道内のものに限るから、どこの機関のものでもよいに
  4. 試験栽培は条件さえ整えれば一般ほじょうでも栽培できる
  5. 商業栽培に関しては罰則が入れられた これでは、試験栽培の名において、届ければ、どこの遺伝子組換え作物(モンサントのもの)でも、一般ほじょうで栽培できることになります。日本の土地と植物の汚染は不可避になる、そういう事態に入っています。

 北海道の例はどこでも起こりうることの典型なのでしょう。本州と違って広大な農耕地をもつ北海道で顕在化したのは象徴的です。
 しかし、シュマイザーさんの経験報告にもあったように、試験栽培でも商業栽培でも植えたら”おしまい”、有機農業も慣行農業もなく、遺伝子組換え操作農業一色になってしまう、土と植物を汚染し、植生を変え、しかも雑草も含めて、種で遺伝していく、ゆゆしい事態です。

 1965年以降、日本は高度経済成長政策のもとで、徹底した近代化農業に転換してきました。いま求められているのは、近代化農業の化学肥料多用・・・地力低下・・・作物の病虫害に対する抵抗性の低下・・・農薬多用・・・公害農産物の生産という結果に対する真剣な対策です。

 アグリビジネスと対抗して、日本の政府、企業、学者は遺伝子組換えを推進しています。バイオテクノロジーはそれしかないと言わんばかりに。
ほんとにそうでしょうか。

 安心して食べられる安全なものを求める「市民=消費者」の声が、これほど強くなっている時代はないのではないでしょうか。安心して食べられるものを作りたいとのぞむ農民もますます増えています。

 北海道は例外として、山脈の裾野の零細な耕地を、勤勉な農民が休ませることなく、あらゆる作物を作つけしてきても耕地を荒廃させることなく、美しい農村風景を保ってきた1960年までの日本。その基盤となってきたのは、独特な複合経営による人工的なエコロジーを、上手に生態系の循環にくみこんできたからでした。

 近代化農業も50年を経過したいま、それの良いところを採用し、地球や土の成り立ちから、土の力を豊にする自然生態系の循環に添った農業に、軌道修正するバイオテクノロジーをこそ、私たちは求めているのではないのでしょうか。

 私たち「市民=消費者」は、名古屋、岩手、北海道の遺伝子組換えイネを中止させてきました。さらに、力をあわせて、遺伝子組換え農産物はいらない、つくらない、食べないと、安心できる安全な食料を要求していきましょう。それには、反対するだけでなく、大豆などの自給を高めるために、市民がオルタナテブな農業を支えるシステムも考えだされねばなりません。
 私たちにも責任があります。

遺伝子組換え技術はいらない
人と生物がともにいきられる環境再生の技術を
地球生態系に添った農業再生への政策を



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