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最終更新日 2023年02月10日




連載:第2回 鉄欠乏耐性GMイネの問題点 ■■■■

★開発

東北大学農学部と東京大学農学部が協同開発しているもので、アルカリ土壌で鉄分の吸収が悪く稲が栽培できない土壌でも生育できるようにした組み換え稲です。国内ではこのような土壌は少なく、事実上、アジアやオセアニア、中南米やアフリカなど海外での実用化を目指しています。

導入遺伝子は、大麦の根から分泌される「ムギネ酸」と呼ばれる有機酸を合成する酸素群の遺伝子(群)です。大麦はムギネ酸を分泌することで、アルカリ性で不溶性になった土壌中の鉄イオンを結合し、それを根から取り込む働きをします。ムギネ酸合成酵素の遺伝子は、土壌中の鉄欠乏をキャッチし、遺伝子のスイッチを入れる誘導酵素遺伝子です。組み替え遺伝子は6種類作られていますが、それぞれムギネ酸合成酵素遺伝子群の一部または複数個を同時にイネに組み込んだものです。複雑なムギネ酸合成酵素群のどれが効果的なのか明らかではありません。そのため6種類同時に、第一種使用規程承認申請書が出されています。

★ 問題点−1−不必要な選択マーカー遺伝子

3種類の選択マーカー遺伝子が組み込まれています。大腸菌由来のハイグロマイシン耐性遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子、それに大腸菌のGUSレポーター遺伝子です。このうち組み換え体作出に実際に使われたのはハイグロマイシン耐性だけで、ネオマイシン耐性は事実上不使用であったにも関わらず、市販のプラスミドが便利であるという理由で使われ、2つの抗生物質耐性遺伝子が組み込まれています。

また、GUS遺伝子は、組み換え体の確認に特殊な色素で細胞が染まる性質を利用したもので、組み換え体作出後は不要なものです。抗生物質耐性遺伝子はすでに知られているように、体内で耐性菌を作る恐れがあり、次第に使用が控えられているもので、この研究ではこうした配慮に欠けています。そう実研究レベルの便利さが優先され、商業化された場合の問題点が無視されています。同様のことは、これらの選択マーカー遺伝子のプロモーターや終止配列に、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV35S)のプロモーターと土壌細菌Agrobacterium1由来のNOS3配列が使われていることにも現れています。

★ 問題点−2−アレルゲンの危険性

ムギネ酸合成酵素のアミノ酸配列には、複数のアレルゲン・蛋白質と共通のアミノ酸配列があり、これを食することで新たなコメ・アレルギーを生ずる恐れがあります。

具体的にはブタクサの花粉アレルゲンと共通配列を持つものが2種類(Amb-alとAmb-a5)、シラゲガヤ花粉アレルゲンと共通構造(Hol-15)、コウジカビ・アレルゲンと共通構造(Asp-n14)、イエカ・アレルゲンと共通構造(Aed-a2)を持つ配列があります。コメを食べてブタクサ・アレルギーになれば、治療に混乱をもたらす恐れがあります。こうした基礎研究が必須です。

★ 問題点−3−海外の野生種との交雑

国外での野生種との交配可能性。圃場試験では、国内に交配可能な野生イネが存在しないことをもって環境安全性を主張しています。しかし、実際にこのイネが栽培される海外では、具体的に交配可能な野生種が存在しまする。例えば、アジアとオセアニアには、Oryza.nivara、中南米とアフリカにはOryzarufipogon、とOryza barthiiトイッタ、ジャポニカ米Oriza sativaと交配可能な野生種があります。実際にこの組み換えイネが海外で栽培されれば、その性質から他の野生種との競合で優勢種となり、交雑で雑草化するのであって、これらの国での生物多様性にとって脅威となります。カルタヘナ法上にも問題であり、こうした海外での栽培許可が下るかどうか疑問です。国内での環境安全性は、海外でも安全性を保証しません。

★問題点−4−代謝に与える影響

ムギネ酸合成の出発点になるS−アデノシルメチオニンという物質は、細胞内の代謝で数多くのメチル化反応に関与するキー代謝産物です。従って、ムギネ酸合成にこの物質を使うことで、他の代謝に大きな影響を与える可能性があります。細胞成分にどのような変動があったか、などこうした基礎的な研究がまず必要です。

★ 問題点−5−実質的同等性は守られたか

公開された実験結果では、非組み換え体の穂の重量(平均11.5g)に比べて、組み換え体の穂の重量(平均7.5g)は明らかに小さい。これは米の収量に直結する問題であるにも関わらず、統計的には有意差なし、と結論されています。少ない試料数を無理やり統計的処理で差がないとする手法に問題はないのでしょうか。

★ 問題点−6−非組み換えイネとの交雑

実際に野外栽培実験がされた場合に、周辺の非組み換えイネと一定の割合で交雑が起こり、組み換え遺伝子の拡散が生じるということです。特にイネは大規模栽培が行われる作物であり、その危険性は大きいのです。

2006年4月8日 国際反GMOデー 河田昌東氏レポートより
河田氏に許可をいただき掲載させていただきました。



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